Unforgettable Times -Early 2020’s [Kameyama Triennale 2024 ver.]

2024年 / ミクストメディア / w4600×d4600×h3000(mm)

出展:亀山トリエンナーレ2024

2024.10.27-11.16 / 旧落合家住宅(亀山市関宿)

制作協力:亀山トリエンナーレ実行委員有志の皆様


本作は、作品「Unforgettable Times -Early 2020’s」(2022)に小変更を加え、亀山トリエンナーレ2024に出展したものである。
2020年代初頭の記憶について再考するというコンセプトはそのままに、感染の影響が薄れた社会状況と亀山市という地域の2点を意識して再構成した。

緊急事態宣言下の都市部や国際空港を撮影した写真を中心に、慣れ親しんだ生活が壊れた状況を想起させる場を構築している。
加えて、亀山市およびその近辺に暮らす人々が、感染拡大に関する各々の記憶を語る音声が再生されている。音声は、作品にサイトスペシフィックな要素を持たせると同時に、観客が当時の記憶を思い出すトリガーの役割も果たす。

コロナ禍と呼ばれた時代は過去のものになり、2024年現在、私たちは平時と呼べる時代にいる。
人々が感染症の記憶を忘れれば、感染爆発につながったとされる都市部への人口集中や自然開発による生態系の変化といった諸問題は、放置されるだろう。
続発する大規模災害や隣国による軍事的挑発など、私たちの暮らす社会にはさまざまな不穏なものが見え隠れしている。
高度なテクノロジーに支えられた現代文明は、盤石に見えて実はとても脆いのではないか。
一見して平穏に見えるこの社会は、いつまでも続くのか。
本作が、平時の尊さや脆さについて再考する契機になれば幸いである。